【素人的レビュー】アウディA3セダンというクルマ - Car Life
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Dachi

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とある事情で、暫くの期間アウディA3セダンを使えることになりました。

やってきたのは先代モデル後期型の1.4TFSIスポーツSラインパッケージ。動力性能は122ps/20.4kgmと、M3(420ps/40.8kgm)と比較すると圧倒的に非力ではありますが、M3より300kg軽いボディとダウンサイジングターボならではの低回転から立ち上がるトルク特性は、M3とは対極の楽しみ方ができそうです。早速箱根方面に持ち出して試してみることにしました。

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アルミ製の軽いフロントドアを開けてドライバーズシートに乗り込んでみます。アウディと言えば、以前試乗させてもらった友人のA4で、フットレストが遠く薄い平板状態であったことに戸惑った記憶があるのですが、このクルマは横置きエンジンのFF車なので、バルクヘッド部分へのせり出しが少ないのか、まっとうなフットレストがあります。アクセルペダルがオルガン式でないのが残念ですが、アルミ製で剛性感は十分にあるので、実用上の不満はありません。





シートは体に馴染み、ホールド性も良く好印象。また、シートの前後高さ調整やステアリングのテレスコピック機能も備えており、ドライビングポジションも適正に取れます。同クラスの日本車でありがちな、シートポジションが成人男子には高すぎたり、シート前後位置をペダル操作優先で合わせるとステアリングが遠くなってしまう等の問題は皆無です(スキーシーズンにリーズナブルな車格のレンタカーを借りる際、いつもこの問題で苦労しています)。このあたりは、ドライビングの本質に関わる部分の手を抜かない欧州車ならではのアドバンテージですね。操作系はBMWとは全然違うので、マニュアルを読み込んで覚えました(笑) 現代の車らしく、スマホとの連携もばっちりで、フル液晶のバーチャルコクピットも想像以上に見やすい。内装はシンプルではありますが、センスの良さと高級感を感じさせるもの。特に夜の照明点灯時はなかなかにハイセンスでおしゃれです。

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一通り操作系を覚えた後でいよいよスタート。東名高速・小田原厚木道路経由で箱根ターンパークへ向かいました。
街中ではターボの出足の良さでストレスを感じることはありません。コンパクトで軽快感あふれる走りはM3にはないものです。何より小回りが利くのが感動的! M3は最小回転半径5.9mもあって全然小回りが利きませんからねぇ・・・。足回りもM3よりはかなり柔らかいのですが、かといってフワフワしているようなことはなく、軽快な中にも落ち着きがあります。

一方で、やや気になったのは、視界の悪さとステアリングの回しづらさ。
前者については、ボンネットの手前側が高く見切りが悪いこと、そして、サイドウインドウの下端位置が高い上にそこからの縦方向の幅もあまりないことが原因。デザイン優先なのか、またまた衝突安全性向上のためなのかもしれませんが、もう少し工夫して欲しいところ。後者については、やはりDシェイプのステアリングがあまり個人的な好みではありません。とはいえ、このあたりはある程度慣れが解決してくれるものでもあり、暫く走っているうちに違和感は薄れてきて、箱根に着いた頃には完熟走行も完了。

箱根ターンパイクでは、M3のような加速感は当然にして望めませんが、FFだからといって強いアンダーステアは出ませんし、そこそこのペースで快走することができます。何より、普段のM3よりアクセルペダルを奥までかつ長い時間踏めるのが良いですよね(笑) 但し、M3や以前乗っていた135iのような、ステアリングやシートを介して4輪から伝わってくるねっとりとした濃厚な乗り味はありません。あくまで透明・理性的。日本酒に例えれば、コメの味をしっかり感じさせる濃醇ではなく、爽やかさで勝負する淡麗辛口な感じ。このあたりは、SモデルやRSモデルだとまた変わってくるのでしょうね。

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大観山で小休止した後、そのまま伊豆スカイラインで冷川まで走りました。
ここでは7速Sトロニックをマニュアルモードにして、パドルシフトを使って走ってみました。いわゆるデュアルクラッチトランスミッション(2ペダルMT)で、ロスのないダイレクトな変速を可能にしながら、多段トルコンATのようなスムーズなフィーリング。半面、エンジンブレーキが弱く、3速くらいまで落とさないと効きを感じません。燃費優先のギア比ということなのでしょうが、走りを楽しむ時はパドル操作を駆使して、積極的に低めのギアまで落とすのがポイントのようです。MTシフトに慣れ親しんだ自分には新鮮な感覚。気分はF1レーサーです(笑)

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冷川から修善寺を経てK18でだるま山方面へ。だるま山へのアプローチは、低速コーナーが続くヒルクライムなのですが、軽量小型ボディが真価を発揮し、気持ち良く振り回しながらリズム良く駆け上がっていきました。スピードメーターを見ても大した速度は出ていないのですが、「走っている感」は十分。その後、西伊豆スカイラインへの分岐を超えると戸田へと向かう強烈なダウンヒル区間へと突入。フロントタイヤがきしみ音を上げながらも、腰砕けになることなく港町エリアまで快走。多くを望まなければこれでも十分。走りメインの趣味の車とするには物足りなさは否めませんが、日常ユースを基本に、その気になればそれなりに遊べるマルチパーパス乗用車という役割期待を与えるのであれば、十分に期待に応えられるクルマであると思います。

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以上のように、美点を誉めつつも、気になる点については厳しい指摘も行ったA3セダンですが、この伊豆ドライブの後、800km強のロングドライブにも連れ出した中でじわじわ評価が上がっていき、最終的な総評としては、自分の中ではかなり高評価なクルマとなりました。 

その理由は、尖った部分はないものの、あらゆる要素のバランスが取れているクルマであることです。走りに大きな不満はなく、大人4人がきっちり乗れ、トランク容量もまあまあ、燃費は15km/L以上は余裕で出て、高速区間では19km/L台も普通に出る。内装もモダンで大人の審美眼にも耐えるテイスト。そして何よりこの車、外装デザインが実に格好良い! アンダーステイトメントを基本としながら非常にバランスが取れた凝縮感のあるシャープなデザイン。最近のベンツやBMWで顕著なディテールの過飾もなく、シンプルなラインで構成されたボディラインは、どの角度から見ても破綻がありません。現在販売されているセダン車の中でも屈指の好みのデザインで、車を停めて離れる時にもつい振り返って見てしまうくらいです(笑)

唯一の弱点はSトロニックミッションの耐久性問題ですが、最近はリーズナブルな分解修理を行う業者も出てきているようなので(注:ディーラーではミッション丸ごとアッシー交換で修理代100万円コースとか)、万一故障しても過度な心配はないかな? 高年式でも300万円弱の中古車が数多く出ていますし、環境が許せばセカンドカーとして是非欲しい。そんな印象のクルマでした。

次回は、このクルマが手元にあった期間中に敢行したロングドライブの様子についてアップしたいと思います。

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Comments 4

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amataro  
No title

Dachiさん こんにちは

最近のダウンサイジングの流れで車を構成するパーツの中でエンジンの占める重要度は低くなってしまった気がします。
それでも各社いろいろと非力さを感じさせない工夫をして、想定するスペック以上に走る車になっているのが、すごいなぁと単純に関心してしまいます。

そうなると果たして我々の乗る旧世代の大排気量、大パワーのエンジンの意味はあるのか?という話になりますが、こういうエンジンがあるうちに経験できたというのは大きいなぁと、懐古的に思うようになってきました。

個人的な意見ですが、S65のV8を最後にS55の直6エンジンからは少なくとも同じダウンサイジングの流れ、官能性の低下を感じます。 それほど過去に乗った車の中でもS65エンジンの印象は大きいです。

アウディですが、私も同意見でA3セダンのスタイルは最近のアウディのモデルの中では抜群にバランスが良いと思います。 近くに一台と待っているのですが(S3セダンですが)、コンパクトなのにバランスがいいなぁと思っていました。

やはりある程度の距離、シチュエーションで乗っていくとアウディは良い相棒になってくれるんでしょうね。 特に長距離を走るときはBMWよりも疲労度が低いであろうことは想像できます。

新しいA3も登場しましたが、しかし最近の車の価格は高い。。。 いろいろと装備が充実して安全装備が標準になっているのは分かるのですが、想像する価格よりもだいぶ高く感じてしまいます。

なかなか次の車、増車、というのはハードルが高いですねぇ。

2021/10/21 (Thu) 09:24 | EDIT | REPLY |   
Dachi  
To amataroさん

amataroさん こんにちは

今振り返って見るとが、2000年代初頭から後半に至る時期こそが、ガソリン車が純粋に性能・楽しさといった夢を追いかけて本来的進化を続けた先に迎えた、最後にして最大の黄金時代だったのだと思います。

ここへきて、一昔前の中古車の価格が一律上昇基調にあるのは、まさに車を取り巻くそんな環境の変化を反映しているのかもしれません(半導体不足による新車供給減少がこれに拍車をかけているのでしょうが)。

そんな黄金時代の、ガソリン車ならではの魅力あふれる車を選ぶのも一興。或いは、上のレビューで掲げたアウディA3(S3、RS3)セダンのような、現代のエコ全盛の時代にあってもキラリと光る魅力を放つ車を選ぶのも一興。これまでは何となく新しいものを買っておけば間違いがなかったものが、これからは自らの価値観~クルマに何を求めるか~とシッカリ向き合って、それにふさわしい選択肢を新旧モデルの中からピンポイントで選んでいく。そんな時代になったんだな、と思います。

それにしても、最近の新車群はべらぼうに高いですし、ネオクラシック車もあり得ないほどに高い(R32 GT-Rなんか、余裕で1,000万円越え、20年落ちFD3S RX-7も500万円とかで売られています)。今あるものを大事に使い続けることが一番リーズナブルなのかもしれません^^

2021/10/22 (Fri) 00:57 | EDIT | REPLY |   
ていしあ  

おはようございます。
A3セダン、大いに気に入られたようですね。書かれているコメント、おっしゃる通りであり、これがBMWとアウディの差に(大枠として)そのまま当てはまるように感じています。TTRSも「熱い」走りよりも「冷徹な」走りのテイストが強いように感じています。もっとも、私のドライビング程度では十分に「熱い」のですがね・・・・。

そして、セダンとしてのスタイル。このサイズでこのデザインは秀逸です。どうしちゃったんだ?という日本の同サイズのセダン(もうなくなっちゃいましたが)は是非見習ってもらいたいと思っています。コンパクトサイズのセダンが欲しい場合には、唯一無二の車かなとも思っています。

2021/10/30 (Sat) 08:42 | EDIT | REPLY |   
Dachi  
To ていしあさん

ていしあさん こんばんは

アウディTTと言えば、過去に初めて輸入車の世界に足を踏み入れようとした際に、結構本気でTTSを探していた時期があります。クールなデザインと先進的イメージに牽かれたんですよね。最終的には、FRへの強い思いから、同時期にデビューしたリーズナブルな直6FRコンパクトクーペ、BMW 135iにしてしまいましたが。ドイツ車メーカーは、最近でこそ差は小さくなってきていますが、各社ともそれぞれ強い個性・主義主張を持っているのがよいですよね。「自分たちの考える理想のクルマはこうだ!」みたいな。

確かに、A3セダンは、コンパクトサイズのセダンでは唯一無二の存在かもしれません。
このクルマに対する関心を高めた後にふと気づいたことは、実は結構多くのA3セダンが街を走っているということです。
このクルマがコンパクトな3ボックスカーを欲する層にとっての最適解の一つになっている証左であろうと思われますし、また、そのアンダーステイトメントなデザインが日本の景観にもよくなじんでいるということかと思います。本来、そういうことは日本車にこそ頑張ってもらいたい分野なのですが、もはやメーカー自身が日本市場を見限っていると思われるのが悲しいですね。

2021/10/31 (Sun) 02:16 | EDIT | REPLY |   

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